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マイコプラズマ肺炎体験談(後編)

入院までの体験談後編です。ママはおろおろ。子どもはぐったり。

ダンナと救急に電話しようか相談している その間も、長男はしつこいくらい

「電車がきた」

と言います。
おかしいなぁ…との思いが、次の瞬間、確信に変わります。

「お母さん、ほら、蜂がきた。ちくって今お母さんの頭、刺した」

わたしは、血の気が引きました。
薄暗い部屋です。ましてや、蜂なんているわけが…。

そうです。
長男は幻覚を見ているのです

私は、電話のほうへ走っていき、震える声で救急へ電話しました。
(ありがたいことに、うちの近くに総合病院があり、救急窓口があります。もちろん、小児科専用というわけではなく、その日の当番の先生が当直で看てくれます)
「幻覚をみていて、熱が41℃あります」
というと、
「すぐ来てください」
とのこと。

ほとんど何も持たず、私たち夫婦は、雨の中、長男を連れて走りました。

救急ってどんなものか、私は余り知りませんでした。
受付窓口に行くと、守衛さんに名前を告げます。
すると、「聞いてますのでお入りください」とのこと。

暗い待合室。2,3人の救急患者がいました。
待つこと20分ほど。
その日の当直は、小児科医ではありません。
(多分脳外科医でした)
「あの、うちの長男、幻覚を見ているみたいです」
と言うと、医師は、長男の首の後ろを触りました。
(髄膜炎をおこしていると、首の後ろが堅くなるそうです。髄膜炎は死に至るような怖い病気です。高熱、嘔吐、幻覚が症状で、うちの長男の症状と似ていました)

首の後ろは問題が無かったようです。
医師は、(こともあろうに!)

「幻覚~…? うーん。子どもだから、ふざけて言ったんじゃないですかねぇ」
「そ、そんなこと、ありません!」
「…うーん。解熱剤、いれたらどうですか?」

いくら子どもはふざけて冗談を言うとしても、我が子がいま冗談をいっているかどうかは、分かるつもりでした。たった3年ほどの子育てですが、それくらいは見分けがつくという自負もありました。

でも、とにかく今は高熱が心配。
まだまだ小さい子どもが、こんなに長時間高熱を出していて良いのかどうかも不安。

そういえば、余りにあたふたしていて、解熱剤が冷蔵庫にあることを忘れていました。
(解熱剤は、冷蔵庫で保管することが出来ます。調剤薬局に確認したほうが良いですが、数ヶ月は持ちます。うちには、以前長男がもらった解熱剤がありました)

「……わかりました」

小児科医ではないので、子どもの症状に関するつっこんだことは聞けません。
今の時点で朝の4時。朝8時になれば、小児科が開くので、とりあえず解熱剤を入れて(座薬)様子を見ることにしました。

解熱剤を入れると、熱は引きました。
37℃前後。
とりあえず、身体が楽になったのか、長男は数時間眠りました。

朝の8時。
それから総合病院の小児科へ。(夜にかかった救急病院内にある小児科です)

小児科医の先生は、

「そうかぁ。熱がでたかぁ…。ちょっと幻覚はこわいねぇ。じゃ、入院しようか」

とのこと。

「は、はい…」

入院と聞いて、その時は、「どうしよう!」よりも、正直ほっとしました。
夫婦2人で、肩で息をしている小さな長男を看るのは、正直なところ、本当に心許なかったのです。
ましてや、また幻覚を見出したら、どうしたらよいか…。

すぐに小児病棟へ。
四人部屋に入院することに。そこには同じくらいの年の子と、そのママ達が数名。

でも、そこで問題が…。

「お母さん。あなたも24時間付き添いですからね」
看護婦さんからの一言。

「そ、そうだった…。わたし、自分の入院の用意、なにもしていない…」

出産の時には、十分すぎるくらい、入院セットを準備していたのに、出産が終わったとたん、そんなものはどこかへ行ってしまいました。
(どうしよう…)

側にはダンナがいました。
が、入院の道具(たとえば、歯ブラシとか、着替えとか、洗顔用具とか、女性用品とか…)なんて、そろえて持ってくること、出来るわけがありません。
長男に今必要な育児グッズ・生活グッズがなにかも、ちょっとあやふや。
私が帰宅して、揃えて持ってくるしかありません。
わたしは長男に言いました。

「ママ、家にかえって入院のセット揃えてきていいかなぁ? すぐ戻ってくるから。ほら、パパが側にいるでしょう?」

長男は大泣き。
その時、熱はまた上がってきていて40℃。
まだまだ3歳の子ども。心細さとしんどさでいっぱいいっぱいだったんでしょうね。
こんな時は、やっぱり父親より、母親なのです。

思いっきり走って家に帰り、まるで泥棒のように(苦笑)いろんなものをタンスからひっぱりだし、つぎつぎとバッグに詰めていきます。


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